救急医療情報キットって聞いたことがある方もいるかと思いますが、あなたは知っていますか?
初めて聞いたという人も多いかもしれません。
これは、米国のオレゴン州ポートランド市で実施されていた「救急医療情報キット」システムを参考に昭和20年に東京港区と東京消防庁に提案されて港区役所で実施されたのが最初です。
高齢化社会のうえ、救急者の需要は多いけれど、近所付き合いも少ない中で救急車は呼ぶことは出来ても、肝心の名前や症状、既往歴などを直ぐに言えない事で、早期治療の遅延を防止できればという包括的医療の事業の一貫として行われていました。
当初は高齢者と障害者に向けて各市町村が無料で配布されている所も多くみられました。
しかし、東日本大震災によりこの医療キットの存在が見直され災害に向けても普及する動きがみられて、徐々に拡大しつつあります。
最初は東京の港区が発信されたこの動きは、今では全国の各市町村で徐々に取り入れられ拡大しています。
災害時の医療に役立つと言われているこの救急医療情報キットについてご紹介しましょう。
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目次
救急医療情報キットのできた経過は?
高齢化が進み、全国的(都市部は特に)に近隣の情報を得られない高齢者の1人暮らしが多く、救急需要自体が多くなってきています。
そんな中、一人暮らしや家族のいないときに急病で倒れてしまった場合、その人がどんな病気暦、持病、血液型、またどんな薬を飲んでいるか、緊急通報先等々の情報を救急隊員に確実に発することができたらいいのに、という声の中、これらの役割を果たす為に具体化されたのが、「救急医療情報キット」です。
近隣の付き合いも希薄になり、包括的な医療の必要性が叫ばれ、その一貫として出てきたのが、海外の医療システムを取り入れた救急医療情報キットです。
救急医療情報キットとは何でしょう?
救急医療情報キットは急病の時に備えたり、災害のためや、安心・安全のために緊急時の連絡先、病名、かかりつけの病院などを記入したシートで、治療などを円滑に行うために役立つ物です。
救急隊員がみて一目瞭然に情報を把握出来るようになっています。
こちらの救急医療情報キットは高齢者(65歳以上)や身障者などに各市区町村で無料で配布されていたり、100円均一のダイソーで販売されている片栗粉入れを救急医療情報キットとして代用している方も多いです。
また、救急医療情報キットとして市販もされております。
キットの作り方の活用手順
昔は近所づきあいがあり、どこにお年寄りが一人暮らしで住んでいるかなど地域の人が皆知っていましたが、今は近所づきあいも薄れ、又個人情報保護の立場から行政でも個人情報をなかなか集められないのをどうするかという目的で作られたものなのでキットの中身は非常に重要です。
救急医療情報キットを作るのに用意するもの一覧
- 救急医療情報キットの容器(自作の際はダイソーの片栗粉入れを代用)
- 救急医療情報シート(ご自身の情報を書くための用紙)
- 救急医療情報キットの容器に貼るための用紙
- ラベルシールとマグネットシートを各1枚(容器同様自作の際はダイソーなどの100円均一にて購入可)
- 保険証と察券のコピー
- 自分の顔写真
- お薬手帳のコピーや薬剤情報提供書
1~4については、各市区町村で無料で配布されているキットや、市販されているキットにはついております。
自作の際の2,3の用紙については各市区町村のホームページから印刷することもできますので、お住まいの市区町村のホームページを調べてみて下さい。
キットの中に入れるものを準備する
キットの中に入れる物は具体的には次のような物です。
救急医療情報シート
個人の名前、住所、緊急連絡先主訴、血液型、持病、病歴、どんな薬を飲んでいるか、等々の情報を書いたシートです。
こちらのシートは普通A4版の紙に上記の物を書いてもいいですし、各市町村よりダウンロードした用紙に書き込みをしてもいいです。
また、販売されている救急医療情報キットや各市区町村で配布している物には救急医療情報シートも付属されております。
お薬手帳のコピー
病気や災害時の医療活動において、服用している薬の情報がとても重要になりますのでお薬手帳の写しを入れておきましょう。
また、今飲んでいる薬を小さなビニールの仕分け袋にまとめていれている人もいるそうですが、実際に服用している薬を見本として入れておくとわかりやすくていいですね。
保険証、診察券のコピー、薬剤情報提供書、写真など
その他にも、保険証や診察券のコピーやお薬を提供された際に一緒にもらう薬剤情報提供書などもあった方がいいです。
そして、ご自身の写真もあると本人確認が迅速にできますので必要です。
キットの活用手順

- 先ほどの「キットの中に入れるものを準備する」でお伝えしたものをケースに入れしっかりとふたをする。
- そして、救急医療情報キットについている容器に貼るための用紙に名前や作成日を記入したら、容器に貼り付ける。
- それを冷蔵庫の目につきやすい場所に保管する。
キットの存在を示すシート(ステッカー)

次に、医療情報キットが冷蔵庫に入っている事を知らせるため、玄関ドア内側と冷蔵庫の扉にシールとステッカーを貼ります。
- キットに入っている場合は、そのままシールを玄関の内側などの救急隊員の目のつきやすいところに貼る
- マグネットになっているステッカーを冷蔵庫に貼る
自作の際は
ダイソーなどで用意したラベルシールとマグネットシートに救急医療情報キットが冷蔵庫に入っている事を記入し、上記と同様にシールを玄関の内側とマグネットを冷蔵庫に貼り付けます。

救急隊が来た時に一目瞭然にしておくことで、素早く適切な処置をとることができるよ
救急隊員が救急医療情報キットを冷蔵庫から取り出して救急活動に活かします。
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キットについての追加情報
なぜ救急医療情報キットを冷蔵庫に入れるのかと言うと、冷蔵庫はどこの家庭にもあり、見つけやすいうえに頑丈だという理由の様です。

このやり方は各市町村で施行されていて、2011年の東日本大震災から本格的から普及される様になったんだって
救急医療情報キット作成時の注意点
- 本人情報シートは常に最新の物に書き換えておく
- 本人情報シートの様式は絶対これ!という決まりはないが、中身が同じならば大丈夫である。ここでも注意しなければいけない事は、最新の物に書きかえること
これはいつくるかわからない緊急時に備え、自分で管理しておくということが大切です。
キットの普及率
具体的な数字は出てきませんが、徐々に全国的に普及している様です。
東日本大地震からは災害時も有益であるという事でそういう動きにもなっています。
そのため普及率は今後徐々に上がっていくと思われます。
また、キットを作って配布するなどの活動をされている所も増えつつあります。
京都あたりではキットを作る講習会も開かれており、こういう活動は草の根的に広げていくのに有効かもしれませんね。
そして、全国的に高齢者の人数も増加していています。
単独のお年寄りも増えていますが、近所付き合いの少なくなった現在においてキットは重要なんですね。
さいごに
今回は救急医療情報キットについてご紹介しました。
阪神・淡路地震を経験した友人の話によると、近所付き合いが結構あって、どこに誰が住んでいるというのを近所の人が知っていて「助かった」というケースが多かったと言っていました。
救急医療情報キットは高齢者も災害も多い日本では重要なものとなっています。
災害を考える時、初期の3日間が勝負だと言われています。
救急隊員もしくは医療者が一目瞭然に健康状況を早くキャッチし早期の治療が出来れば、1人でも多くの人の命が助かる事でしょう。
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