昨今頻繁に起こる自然災害に防災意識も高くなってきていますが、皆さんはどのような備えをされていますか?
懐中電灯、ポリタンク、簡易トイレ、カセットコンロなど災害時の対策として備えなければいけない物はたくさんありますが、防災グッズの一つとしてテントの装備をおすすめします。
細々とした防災グッズの備えはあっても、一般的にテントを装備されている家は少ないことでしょう。
ではなぜテントが必要なのか、その必要性とどんなものが災害時に適しているのかをご紹介していきます。
災害が起きたとき、皆さんは何処に避難されるでしょうか?
災害といっても地震、水災、台風、火災など様々な自然災害があり、市や地域が指定している避難場所や避難所が違う場合があります。
避難場所と避難所の違いをご存知ですか?
避難場所とは、災害時に危険回避のためにとりあえずその場から逃げて避難する場所のことで、自然災害の種類によっても違いますが、例えば身近で安全な公園とか、常時開放されている施設などです。
避難所は、家屋の破損や心的恐怖のため居住不可能になった人に、一時避難所、緊急避難所として特別に開放される学校や、その他の公共施設などのことです。
では避難場所や避難所があるのに、なぜ防災グッズとしてテントが必要なのでしょうか?テントを備える必要性について具体的にみていきましょう。
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目次
災害時におけるテントの必要性
今世の中は空前のペットブームで、犬や猫を飼っている人たちがたくさんいます。
ペットといっても、家族として愛され屋内で大切に飼われている動物たちです。
では、災害が起こった場合ペットたちはどうなるのでしょうか?
飼い主の人たちにとっては家族なのですから、当然一緒に避難したいと思いますよね。

ぼくたちは避難所に行けないの?

わたしも一緒に行きたい!
しかしペットを連れて避難所に行くことはためらわれます。
飼い主にとってどんなに大切な家族であっても、他の人にはそうではありません。
その中には身体的動物アレルギーの人や動物が苦手な人、自分のペット以外の動物を怖がる人も多く、いろんな人が避難されているからです。
また、犬は特に大きな声で吠えますし、おとなしい小型犬ならまだしも気性の激しい犬や中型犬、大型犬となると危険が伴うため避難所には入れてもらえません。
仕方なく飼い主たちは動物と共に避難所の外で過ごすことになります。
近年テレビの報道でよく取り上げられていますが、災害時に車の中で過ごす人たちが多くなっています。
ペットの問題だけでなく、避難所での騒音や、匂い、人ごみの中の圧迫感、プライバシーが保てないことなどに耐えられない人や、子どもの泣き声による迷惑を気にして、車中泊を選択する若い親御さんが増えているからです。
ただ車中泊は、避難生活が長引くと体に負担がかかってきます。
足も延ばせず座った状態だと足も浮腫み、圧迫からエコノミー症候群を引き起こすことがあり、大変危険が伴います。
そこで活躍するのがテントなのです。
テントであれば足を延ばして寝ることもできますし、プライベートな空間をもつこともでき、話し声を気にしたり、着替えを気にしたりと他の人の目や耳を気にしなくてもよくなります。
そしてペットを飼っている人にとっては一緒に過ごせる大きなメリットがあります。
その他地震災害で家が半壊したり、亀裂が入っていたりして、余震が怖くて家に住めない場合も、もし庭や近くに広いスペースがあればそこにテントを張ることができます。
これまでの災害の状況から、被災後復旧までは長くかかると考える必要があります。
災害時にいかにテントが役立つかお分かりいただけたでしょうか。
もちろん安全を考えて先ず避難所に行くことが大事なのですが、避難所で過ごすことが困難だとある程度予測できる場合は、やはりテントを防災グッズの一つとして備えておくことをおすすめします。
防災グッズとしてのテントの選び方
防災グッズとしてテントを備える必要性については分かったけれど、キャンプ好きの人ならともかく、テントの張り方も分からないし、普段使うこともない大きなテントの保管場所にも困ると思われる人もいることでしょう。
一概にテントといっても種類によって構造や素材、耐久性や用途が違うため、どんなテントでもあればいいのかというと、そうではありません。
災害によっては不向きなものもあります。
それではテントの種類と違いをご紹介していきましょう。
テントには宿泊向きのテントとそうでないテントがあって、先ずシングルウォールテントとダブルウォールテントの違いからご説明します。
シングルウォールテント
シングルウォールテントは、名前の通り一枚生地(壁)の一重構造のテントで、ワンタッチで簡単に設営できるテントに多く、デイキャンプなどによく使われます。
テントを張る難しさがなく瞬間に開いてテントになるとても便利なものもあります。
ただ一重構造のテントは結露に弱く蒸れやすく、強風雨にも弱いため、あまり宿泊向きとはいえませんが、軽量で災害時の一時的な避難シェルターになるテントや、日よけや物の保管場所、着替え場所、簡易的な宿泊場所として役に立つテントもあります。
ダブルウォールテント
ダブルウォールテントは、インナーテントとフライシートの二重構造からなり、結露を防ぎ風雨や耐久性に強いため宿泊に最適で、キャンプに多く使用されるタイプです。
非難が長期化した時に必要となるテントです。
大きさや構造によっては設営に時間がかかる物もあり、また地面が土でないと設営できないような設置場所が限定されるところがありますが、最近は比較的簡単に設営できるテントも多く販売されています。
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居住用テントの種類とおすすめ
次に居住用テントの種類をご紹介します。
テントの種類には、ドームテント、ツールームテント、ワンポールテント、ワンタッチテント、特殊タイプテント(個性派)などがあり、収容人数や設営の仕方、用途が違ってきます。例を挙げて説明していきましょう。
ドームテント
ドーム型テントはキャンプに最も使用されている宿泊用テントです。
ドーム型テントにもたくさんの種類があり、180㎝ほどの人が中で立ち上がれる高さがあるものもあり、広く圧迫感が少ないものや、逆に高さを低くして耐久性や暴風雨対策に特化しているものもあります。
このタイプはダブルウォールテントで、3~4人用、4~5人用のファミリー向けのものが多く、通気性にも優れていて長期の滞在に向いていますが、価格は4万円弱から7万円強と防災グッズとして備えておくにはちょっと高額です。
もちろん安価のドーム型テントもあります。
二重構造で、耐久性にも優れた移住性を重視したツーリング用の軽量なテントがあり、1人用、2人用、3~4人用とコンパクトなものが多く、価格も1万円以下とお手頃で、防災グッズの一つに加えるには丁度良い価格のテントです。
ツールームテント
キャンプをする場合、宿泊用のテントの他に食事場所やリビングを確保するためにタープを張りますが、ツールームテントは、ドームテントの外膜を延長してスペースを確保できるリビングスペースが一体化した設営しやすい便利なテントで、ロッジドームテントとも呼ばれています。
ツールームテントは種類も豊富で、価格は1万円位から10万円以上のものもあり、スクリーンツールームドームテントは、前面が開放的なメッシュになっているので、夏は風通しが良く、虫対策にもなり、ゆっくりくつろげるリビングになります。また雨の日の食事も大丈夫です。
ワンポールテント
最近人気があるテントで、居住空間が広く、中央を1本のポールで支える円錐型テントです。
1本だけで支えるなんて大丈夫?と思われるかもしれませんが、6角形や8角形の多面型なので、風にも強くとても安定感のあるテントです。
丁度インディアンのテントの様でお洒落ですね。
ワンタッチテント
ワンタッチテントには宿泊可能なダブルウォールテントもありますが、多くがシングルウォールテントで、軽量で名前の通り初心者でも簡単に設営することができる簡易テントです。
大きな傘を開くようにして広げるタイプや紐を引くだけのタイプ、袋から出して一瞬でテントになるポップアップタイプのものもあり、混乱し動揺している災害時においてすぐに使えるという利点があります。
特殊タイプテント(個性派)
特殊タイプテントとは、形状が個性的で、他と比較できないものが多く、耐久性や強度も様々です。
ドーム型テントでも特殊な形状をしていたり、複合機能的であったりと、テント生活を楽しむ人向きで、それぞれが存在感を放ちますが、防災用テントとして備えるには不向きなものが多くあります。
テントの素材と特徴
テントの多くが、フライ、インナー、フロア、ポールで構成されていて、テントを選ぶときにその素材選びは重要になります。
テント生地にはポリエステル、ナイロン、コットン、ポリ塩化ビニール、ゴアテックス、ポリエチレンが使われています。
ポリエステル素材とポリエチレン素材
ポリエステルはフライシートによく使われていて、合成繊維の中では強度が高く、紫外線にも強く、耐水性に富みますが、通気性が悪く蒸れる素材です。
ポリエチレンも強度や耐水性が高いのですが、通気性は非常に悪く熱に弱い素材です。主にグランドシートに用いられます。
ナイロン素材
インナーにはナイロンやコットンが多く、ナイロンは引っ張り強度や耐水性が高いのですが、熱や紫外線には弱く通気性が悪い素材です。
その分風を通さないため冬場に適した素材です。
コットン素材
その点コットンは熱や紫外線に強く、通気性も良く、ナイロンより耐水性は多少劣りますが十分防水効果があって最適です。
しかしコットンは虫が付きやすく、よく乾燥させないとカビが生えるためメンテナンスが大変で、持ち運ぶにも重いという難点があります。
特に水を含んでしまうととても重くなってしまいます。
ゴアテックス素材
ゴアテックスはプラスチックの様な素材にナイロン繊維を貼り合わせたもので、強度が高く防水透湿性に優れた素材です。
耐水性が高いのでフライシートがないシングルウォールテントでも十分なのですが、この素材は別素材と貼り合わせ層にして作られるため、価格が高くシングルウォールテントの特徴である軽量さはありません。
しかしシングルなのでコンパクトな利点はそのままです。

ゴアテックス素材って良さそう!

でもお値段も高そう!
ポール素材
ポールの素材は、スチール、グラスファイバー、アルミニウム合金(ジュラルミン)があります。
スチールは強度が高いのですが、重くサビやすい欠点があり、アルミニウム合金(ジュラルミン)は軽量で弾力性があり強度もあるため、ドームテントのポールに多く使用されています。
グラスファイバーは天然木に近い弾力性がありますが、ジュラルミンより折れやすい素材です。
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テントに伴う必要備品
さて防災グッズとしてテントの準備はしましたが、いくら災害時用の一時的避難場所といってもテントだけでは快適に過ごせません。
そこで必要最低限の防災グッズをご紹介します。
先ずテントの下に敷くグランドシートが必要です。
テントの底を傷つけず軽量で耐久性防水性に優れた専用のグランドシートがありますが、ブルーシートや厚手のレジャーシートでも代用できます。
ただ地面の凹凸や底冷えを感じるため、テントの中にインナーマットが必要です。災害時は布団や毛布が手に入ればそれを代用しましょう。
寝袋も便利な防災グッズで、寝袋一つあればどこでも寝ることができ寒さもしのげます。
ファスナーを全開すると一枚の敷物になり、テントの中に敷いて敷布団代わりに二人で寝ることもできます。
必要な防災グッズはたくさんありますが、懐中電灯と多機能ラジオは備えておきましょう。
私が実際に購入しておすすめするライト機能付き防災ラジオについては「防災ラジオは必要?おすすめの手回し充電も出来るラジオを紹介!」の記事をご覧ください。
LEDライトやランタンをテントに吊り下げておけば、夜は安心ですね。
さいごに
災害時のテントの必要性と防災グッズとしてのテントの選び方は、参考になりましたか?
防災用テントを選ぶときは、先ず必要とされる収容人数や、家族構成から大きさや設営のしやすさを考え、表示されている使用人数よりも少ない人数でゆったりと使えるようにしましょう。表示の人数は最大人数です。
災害が起きてすぐは防災グッズとして持ち歩ける簡易の緊急シェルターテントや、登山用テント(ツェルト)が活躍するのかもしれませんが、その後を考えるとやはり居住用のテントの備えをおすすめします。
もちろん災害が起こらないことも、避難が長期化しないことも節に願いますが、災害はいつ何時何処にどのような形で起こるか誰にも分かりません。ですから自分を守るために、大切な人を守るために防災対策はしっかりしておきましょう。
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